オオナムヂの日記

30代の新米パパ、職業はシステムエンジニア。好きなこと(旅行/IT/日本史/ゲーム/読書/投資)についていろいろ綴っていきます。

【感想】東野圭吾「白夜行」を読んで

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どーも、オオナムヂです。
令和という新しい時代になったので、普段読書したものの感想やらを記録に残していこうと思います。

まず一発目は東野圭吾の「白夜行」。

はい、さっそく「今更かよ!」という声が聞こえてきましたが、ちょうど10連休の頭に図書館に行って、旅行に行く電車の中で読む用の小説を借りてきたのがこれです。今まで東野圭吾の作品は「容疑者Xの献身」、「手紙」、「さまよう刃」、「聖女の救済」を読んだことがありましたが、「白夜行」についてはあらすじすらも知らない状態だったのでたまたま図書館で目に留まって、読んでみようとなったわけです。

東野圭吾の作品ですが、こてっこてのミステリー作家といった印象は持ってないです。特に「手紙」とか「さまよう刃」を読んでいるからなのかもしれませんが、社会的なテーマを主題として取り扱った作風であるイメージがあります。「手紙」は犯罪者の家族が受ける社会的な制裁について、「さまよう刃」では被害者側家族が抱く心情について、どちらも強烈なインパクトがある作品で、何とも言えぬ読後感はいまだに強く心に残っています。

そして「白夜行」ですが、これも幼児虐待、特に性的虐待をメインテーマに置いた作品でした。

あらすじ

とりあえず、まーーーー長い。文庫本で850ページありますからね。途中からメモ取り出して登場人物とか忘れないようにしていました。

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これが実際のメモです。

「白夜行」は全13章から構成され、手書きのメモ上の波線で章の分かれ目を表しています。

主人公は雪穂と亮司なんですが、物語は彼らが小学生の時からスタートして、30歳くらいになるまでの19年間続きます。二人とも幼少期に性的虐待を受け、その後の人生はまるで白夜の中を漂っているかのような生活になります。

あたしの上には太陽なんてなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけど私には十分だった。あたしはその光によって、夜を昼と思って生きてくることができたの。わかるわね。あたしには最初から太陽なんてなかった。だから失う恐怖もないの

物語終盤での雪穂のセリフです。

太陽に代わるものとは何か、これは亮司だという解釈も成り立つとは思いますが、読み終えた後に冷静に考えると「金」以外の何物でもないような気がしてきました。もともと家が貧しく、100万で幼児虐待を受け(?)、結婚後も夫に隠れて株をやり、ことあるたびに亮司から援助を受けて自分のブティックを何店も開業する。幼いころの卑劣な体験から、雪穂はただの金ゴンと化してしまったのです。

一方、亮司はというと、おそらく自分の父親の被害者ということで雪穂への贖罪の意識から、様々な援助を続けていました。時には人を襲い、時には人を殺すことで。。。

昼間に歩きたい。俺の人生は白夜の中を歩いているようなものやからな。

これは亮司が年末に来年の抱負を聞かれたときの一言です。
彼は雪穂への贖罪をはらすための自己犠牲をすることでしか、自己肯定ができず、結局それ以外に生きる道を見出せませんでした。

雪穂と亮司はお互いにかけがえのない存在でしたが、恋愛感情に発展することはなく、最後のシーンを迎えます。

作品の特徴

雪穂と亮司の内面の心情を一切描写することなく、物語は進んでいきます。

先に述べたあらすじの中で、雪穂は金が太陽だったとか、2人は恋愛感情になかったとか書きましたがこれらは全て私の主観です。実際に文章でそのようなことは書かれてなく、ちりばめられた伏線から私が解釈した結果こうなった、というもので、とにかく物語が長く色々な伏線があり、読み手によってかなり解釈が異なる仕上がり方になっているのではないでしょうか。

このように様々な伏線をちりばめて、最後まですべての伏線を明かすことなく物語が終えていきます。そのような構成であるため、再読すれば新たな発見が次々と出てきそうな感じもします。

読後感

今作もこれまでの東野圭吾作品同様、何とも言えぬ読後感がありました。読み手として期待している「そうだったのかー」とか「そうなるのかー」という感動はもちろんありましたが、それよりも作品の主題となっている幼児期に制的虐待を受けた人のその後の人生や考え方などに色々考えさせられることがあり、結局一生引きずってしまうことになった雪穂と亮司の人生を顧みれば、そこに筆者の強いメッセージを垣間見ることもできます。

虐待に限らず、犯罪者のその後や、一回ミスをしてしまった人の人生に厳しすぎる世の中になっているような気もする昨今ですが、加害者側・被害者側双方を含めて社会として再スタートを受け入れるための仕組み作りが必要なのかなーと思ってみたりもしました。その前に、幼児虐待などをする人を起こさない仕組みづくりも重要ですが。

とはいえこの世の中には本当にいろんな人がいるので、超絶難しい問題ですよね。人工知能が解決してくれないかしら。